■日本に住んでいるのは「日本人」だけではありません。大多数の日本人が普段は考えてみることのない「エスニック・マイノリティ」と呼ばれる人たちが日本の中で感じる生きづらさを乗り越えて、ナムさんが今、どんな気持ちで歌を歌っているのか。今回はライブを交えながらそんなお話をしていただきました。
■参加者の感想
11月19日、学生震災救援隊主催の2008年度連続講演会「生き難い社会を乗り越えて」の第2回目が行なわれました。
今回の講師はブ・ハ・ビェト・ニャト・ホワイ・ナムさん。在日べトナム難民2世の20歳の青年で、「オレはオレのことをオレの歌で証明」と自分のアイデンティティを力強く歌い上げているラップ歌手です。
まずベトナム戦争の歴史とナムさんのご両親が日本へ来た経緯について話してくださり、その後「オレの歌」を披露してくださいました。
それから、小学生の時に友達に本名やベトナム人であることをからかわれ、中学入学と同時に日本名を名乗るようになったことや、別の講演会で受けた質問「もし生まれ変わるなら日本かベトナムかどちらに生まれたいか」という質問に対し、「どっちかなんて決められない、命があるだけでありがたい」と答えたということや、子どもたちになにか働きかけるのではなく、自分たちでいろんな葛藤の経験などを積んで、自分のアイデンティティを確立してほしいということや、ベトナム人であることを周囲の友達に告白した時の反応がそれほど拒否的ではなかったこと、在日ベトナム人のお客さんがいるライブで、ベトナムの国旗の描かれたTシャツを着ていったら反応があまりなく不思議に思っていたが、その後のお母さんからの話で、在日ベトナム人が祖国の政府が作った国旗に対して抱いている複雑な想いを知ったこと、そしてその経験から日本の国旗とベトナムの国旗を合わせた旗を自分のトレードマークにしようと思いついたこと、アルバイトしたお金で母国ベトナムへ留学していたときのことなど、さまざまなエピソードを、とてもフランクな感じでお話ししてくださいました。
暗い話や苦労した話はほとんどなく、すべてを笑い飛ばしてしまうようなナムさんのポジティブさがひしひしと感じられる楽しい講演会でした。普通の日本人でもそのような境地に達するのはなかなか難しいでしょう。それはやはり、ナムさんが思春期の頃に自分のアイデンティティについて思い悩み、その末に「オレの歌」をたくさんの人の前で歌っていくことに決め、そのうえで今があるからなのだと、強く思いました。
村川奈津美 さん (神戸大学人間発達環境学研究科 修士課程)

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